発表論文

都市空間情報基盤不足地域における熱環境評価の試み
一ノ瀬俊明, 白木洋平, 松本太, 盧軍, 花木啓祐

近年の成長が著しい中国の巨大都市である重慶において、2004年8月の典型的な暑熱問題日に観測された屋外熱環境に関連するデータを解析した。その際、都市計画に関するGISデータなどが利用できなかったため、観測で求められた「体感温熱指標」について、魚眼レンズを用いた全天写真およびRayMan Model(周囲の建物分布にもとづいて人体の温熱感覚を計算するモデル)を用いた数値計算による検証を行ったところ、観測値と計算値とは良好な一致をみた。このことは、精緻なGISデータが存在しないフィールドにあっても、簡便な手法によって一定の精度で「体感温熱指標」が算出できる可能性を示唆する。

一ノ瀬俊明, 白木洋平, 松本太, 盧軍, 花木啓祐 (2007) 都市空間情報基盤不足地域における熱環境評価の試み. 環境システム研究, 35, 147-154.