発表論文

日本海沿岸で粒径別連続採取したエアロゾル中の水可溶性イオン種および微量金属成分による長距離輸送現象の解析—2002年春の黄砂イベントを中心に—
日置正, 中西貞博, 向井人史, 村野健太郎

大気中エアロゾルは大きさから微小粒子(サブμm)と粗大粒子(主に2μm以上)に分けられる。京都府の日本海側で、冬季から黄砂の飛来する春季の間にエアロゾルを粒径別に採取し、それぞれのイオンや微量金属成分を連続的に調べることで、飛来する粒子の発生源の特徴を調べた。流跡線解析も利用しデータを解析した結果、黄砂時の元素の特徴が示されたと共に、同時期に硫酸やPb、Sbなど汚染成分も微小粒子として大陸から飛来していることがわかった。またBi濃度が桜島の噴煙飛来の指標となる可能性があることや、これまでデータの無かったUやThなども観測も可能であり、今後指標として期待できることなど新しい知見を得た。

注:微小粒子は燃焼やガスからの粒子化によって発生する主に人為起源であることが多い。粗大粒子は土壌粒子が主であり、黄砂も粗大粒子が多い。

日置正, 中西貞博, 向井人史, 村野健太郎 (2006) 日本海沿岸で粒径別連続採取したエアロゾル中の水可溶性イオン種および微量金属成分による長距離輸送現象の解析-2002年春の黄砂イベントを中心に-. エアロゾル研究, 2006, 21, 巻2号, 160-175.