20世紀における主要な人為起源および自然起源物質による放射強制力*1の計算を行った。計算によると、20世紀の間に温室効果ガスによる正の放射強制力とエアロゾルによる負の強制力がともに増加し、前者が後者を上回り、全体として正の放射強制力が増加した。従来の研究では、対流圏界面*2における放射強制力が地表気温変化を決める指標であると考えられてきたが、エアロゾルの場合には地表における放射強制力も地表変化との対応がよいことが分かった。
*1 放射強制力:人間活動や地球外部の要因によって気候システムに加わる放射バランスの変化。単位時間・単位面積当たりのエネルギー流入量 [W m-2] の形で表現する。一般に放射強制力が正の場合には地球システムを加熱し、負の場合には冷却する。
*2 対流圏界面:地表によって温められた大気が鉛直対流を起こす対流圏と安定な成層圏との境界面。高度はおよそ10km。