発表論文

日本におけるオゾン標準とトレーサビリティシステムの構築
谷本浩志, 向井人史

主要な温室効果ガスの一つである対流圏オゾンの濃度変化を早期に検出し必要な対策を講じるには、高精度標準に基づく観測ネットワークの存在が不可欠である。本論文では、国内のいくつかの研究機関が所有するオゾン標準を、米国標準技術研究所が維持する標準と比較する実験を行った。その結果、手法により大気中濃度の測定値に最大で数パーセントの差が生じる可能性が示された。今後、オゾンの高精度標準に基づくトレーサビリティシステム*1の構築が急務であることが示唆された。

*1 トレーサビリティシステム:追跡可能性。ここでは、大気中オゾン濃度の測定器が校正の連鎖によって国家標準(ないしはそれに準ずる標準)に辿り着けることが確かめられていること。

谷本浩志, 向井人史(2006) 日本におけるオゾン標準とトレーサビリティシステムの構築. 大気環境学会誌, 41(3), 123-134.