2017年7月号 [Vol.28 No.4] 通巻第319号 201707_319006

国立環境研究所一般公開「春の環境講座」を開催しました 1 パネル・展示 1:JAL(日本航空)とコラボした大気観測プロジェクト「CONTRAIL」

  • 地球環境研究センター 大気・海洋モニタリング推進室長 町田敏暢

2017年4月22日(土)に、科学技術週間に伴う国立環境研究所一般公開として「春の環境講座」を開催しました。当日は、時折小雨がぱらつくあいにくのお天気にもかかわらず、576名もの方々にお越しいただきました。

地球環境研究センターは、地球温暖化研究棟1階を公開し、「ココが知りたい地球温暖化の適応策」と題したパネルディスカッションを行うとともに、地球環境観測の展示・紹介、発電量表示システムを備えた自転車発電体験を行いました。地球温暖化研究棟での公開内容についてご報告します。

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「CONTRAIL」は民間航空機を利用した全球規模の温室効果ガス観測プロジェクトで、定常的に大気中の二酸化炭素濃度を連続観測する世界で最初の取り組みです。地球環境研究センターでは春と夏の一般公開の際にCONTRAILで使っている観測装置の展示と共に研究成果を定期的に紹介してきました。今回は通常の展示に加えて、地球温暖化研究棟入口付近に大型のスクリーンを設置し、CONTRAILの観測装置の1つである二酸化炭素濃度連続測定装置(CME)を航空機に設置する際のドキュメント映像を早送りで紹介するビデオを放映し続けました。このビデオは、装置を搭載して運航している日本航空(JAL)の整備本部の社員が撮影したもので、JALのFacebookに掲載されているものを、許可をいただいた上で放映したものです。これまでの公開でも模型や観測装置を見せながら搭載の様子を説明してきましたが、実際の映像の説得力は想像以上に高く、訪れた皆さんも「こんなところに積んであるんですか」と具体的なイメージとして受け止められたようでした。また、今回の公開ではJALコーポレートブランド推進部の江藤仁樹さんに参加していただき、展示の説明にご協力いただきました。これまでは専ら「研究成果」として研究者目線でのCONTRAILの説明が多かったと思いますが、「民間会社としての環境分野の社会貢献」という目線で説明していただいたことにより、CONTRAILをより身近な取り組みとして理解していただけたと感じます。一般公開で1日ご協力いただいた江藤さんは、「今後も、観測そのものに加えて、社会への成果の発信の面でも国立環境研究所とさらに協働を進めたい」と話されていました。実は、今回のJALとのコラボは「夏の大公開に向けた助走」との位置づけになっています。7月22日(土)の夏の大公開ではJALの現役パイロットに国立環境研究所まで来ていただき、パイロットが見てきた世界の環境変動、パイロットだからできる環境保全への取り組みについてお話しいただく予定です。パイロットの生の声を聞いてみたい方は、是非お越しください。今後もCONTRAILはより良い観測を展開できるようJALの協力をいただきながら発展していく所存です。

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町田(中央)「こういう説明でいいですよね、江藤さん」、江藤(左端)「はい、効率よく観測ができるよう工夫しています」と、共同で来場者に説明をしているところ

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