2015年3月号 [Vol.25 No.12] 通巻第292号 201503_292011

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 15 気候変動枠組条約(その2) —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問43国連気候変動枠組条約第2条に記されている究極の目的に関する説明文について、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 61%

  • 地球表面温度を産業革命以前の水準に戻す
  • 大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる
  • 温室効果ガスの人為的排出量をゼロにする
  • 気候変動によってもたらされる国際的不公平を是正する
ヒント
排出量をゼロにすることではありません。
答えと解説

答え: ②

気候変動枠組条約の第2条には、「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極的な目的とする。」と書かれています。そして、「そのような水準は、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、持続可能な経済開発を続けられるよう、適切な期間内に達成されなければならない。」とされています。大気中の温室効果ガス濃度を何ppmで安定化するべきなのか、それをいつまでに達成しなければならないのか、といった具体的な数値目標は示されていません。

問44クリーン開発メカニズム(CDM)と共同実施(JI)の説明について、最も不適切なものはどれか?

上級レベル

正答率 57%

  • CDMは、附属書I国内において実施される
  • CDMで得られたクレジットは、附属書I国の削減目標達成のために利用可能である
  • JIは、附属書I国内において実施される
  • JIで得られたクレジットは、附属書I国の削減目標達成のために利用可能である
ヒント
クリーン開発メカニズム(CDM)は途上国で、共同実施(JI)は先進国で実施されるプロジェクトです。
答えと解説

答え: ①

クリーン開発メカニズム(CDM)は附属書I国(投資国)が非附属書I国(ホスト国)において、排出削減または吸収プロジェクトを実施し、その結果生じた排出削減量の一部を附属書I国がクレジット(CER)として獲得し、自国の削減量に組み入れることができる仕組みです。なお、このCDMプロジェクトでは附属書I国全体の排出割当量は増加します。

共同実施(JI)は附属書I国同士が協力して排出削減または吸収プロジェクトを実施し、その結果生じた排出削減量を投資国がクレジット(ERU)として獲得し、自国の排出削減量に組み入れることができる仕組みです。なお、このJIプロジェクトでは附属書I国全体の排出割当量は増加しません。

問45わが国のエネルギー起源CO2の年間排出量(2012年)の説明として、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 78%

  • 国別順位では第3位であり、世界全体に対する寄与率は10%である
  • 国別順位では第5位であり、世界全体に対する寄与率は4%である
  • 国別順位では第10位であり、世界全体に対する寄与率は2%である
  • 国別順位では第18位であり、世界全体に対する寄与率は0.5%である
ヒント
ざっくりとしたCO2排出量は日本が13億トン、世界全体が300億トンです。
答えと解説

答え: ②

国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)が、世界各国のエネルギー起源CO2排出量をとりまとめ、発表しており、この設問はIEAのデータを基にしております。IEAの発表によると、2012年時点で、日本の排出量は国別順位で5位であり、1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位ロシアの順でした。また、日本の排出量は、世界全体の排出量317億トン(CO2換算)の約4%を占めておりました。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

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