2014年2月号 [Vol.24 No.11] 通巻第279号 201402_279009

【最近の研究成果】 日本の代表的な植物種を中心とした22種の個葉・シュートの分光反射率・透過率と12種の幹・枝の分光反射率についてのデータペーパー

  • 地球環境研究センター 物質循環モデリング解析研究室 特別研究員 野田響

植物群落の分光反射特性(光が当たった際に反射する割合の波長ごとの分布)は、群落を構成する個葉の分光反射率・透過率および幹・枝の分光反射率に規定される。また、個葉の分光特性は葉の生化学的な特性(クロロフィル量や含水率など)と解剖学的な特性を反映している。したがって葉と幹・枝の分光特性データは、人工衛星や航空機等のリモートセンシングによる分光データを生態学的に解釈する上で不可欠である。葉や幹・枝の分光特性は植物種により異なり(図)、さらに葉の分光特性は季節により変化する。いくつかのデータベースで個葉の分光特性データは公開されているが、日本に生育する種はほとんど含まれておらず、季節性も考慮されていない。そこで、日本を含む東アジアの代表的な植生の優占種を中心に、季節性も含めた分光データを公開するため、複数の季節に測定したデータを含む維管束植物22種の葉・シュートの分光反射・透過率と12種の幹・枝の分光反射率データをデータペーパー(データ本体と詳細情報を公表する論文)として報告した。

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個葉の分光反射率(reflectance)・透過率(transmittance)の例。ダケカンバ (a)、アカマツ (b)、チガヤ (c) のデータを示す。実線が葉の向軸面、点線が背軸面を示す。観測機器の特性上、ノイズが大きくデータが使用できない波長域は灰色の影で示した

本研究の論文情報

Reflectance and transmittance spectra of leaves and shoots of 22 vascular plant species and reflectance spectra of trunks and branches of 12 tree species in Japan
著者: Noda H., Motohka T., Murakami K., Muraoka H., Nasahara K.
掲載誌: Ecol.Res., DOI: 10.1007/s11284-013-1096-z.

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