2013年9月号 [Vol.24 No.6] 通巻第274号 201309_274009

「空飛ぶ実験室」コントレイルプロジェクト、環境大臣賞を受賞!

地球環境研究センター 主幹 広兼克憲

日立環境財団と日刊工業新聞社が共催する第40回「環境賞」では、応募総数50件の中から、日本航空、ジャムコ、JAL財団、国立環境研究所、気象庁気象研究所で構成されるCONTRAILプロジェクトチームによる「定期航空路線を利用した温室効果ガスのグローバル観測」が環境大臣賞・優秀賞を受賞しました。CONTRAILとは「飛行機雲」の意です。

photo. 環境大臣賞

環境省白石総合環境政策局長より日本航空日岡執行役員に環境大臣賞を授与

photo. プロジェクトメンバー

CONTRAILプロジェクトメンバー(右下は地球環境研究センター町田室長)

同プロジェクトは、全球的な二酸化炭素の動態把握のデータを取得するため、軽量かつ安全な二酸化炭素の高性能連続計測システムを開発し、旅客機の安全確保のための非常に厳しい安全性検査をクリアーした後、それを民間(日本航空)との協力で定期国際線航空便に搭載することにより、低コストの3次元二酸化炭素濃度観測を可能にしました。これは世界初の試みであり、いわば「空飛ぶ実験室」の実現です。また、官民連携の好例であるとして高い評価を受けました。

このプロジェクトによりこれまで観測の空白域であった東南アジアやインド上空の二酸化炭素濃度変動が得られ、南アジアを含む熱帯地域の二酸化炭素排出・吸収量の見積もり誤差の大幅軽減が実現しました。取得されたデータは各国の研究者に広く提供され、二酸化炭素循環の実態解明に交換しています。

今後、欧州発の航空機観測プロジェクトの大西洋域観測データ等と合わせ、さらに正確な全球規模の二酸化炭素循環の見積もりや排出量削減に向けた国際協力に貢献することが期待されています。

日立環境財団の表彰式のページ http://www.hitachi-zaidan.org/kankyo/topics/topics67.html

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