2013年6月号 [Vol.24 No.3] 通巻第271号 201306_271004

国立環境研究所一般公開「春の環境講座」を開催しました

地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室 研究員(国立環境研究所 一般公開実行委員) 横畠徳太

2013年4月20日(土)に、科学技術週間に伴う国立環境研究所一般公開として「春の環境講座」を開催しました。当日は4月にしては肌寒い天候となりましたが、425名の方々にお越しいただきました。地球温暖化研究棟では、地球温暖化に関する講演会、地球環境にかかわる観測モニタリングや低炭素社会に関する研究の展示、自転車をつかった発電体験を行いました。日頃の私たちの研究成果をお伝えするとともに、皆様からのご質問や貴重なご意見をいただくことができました。内容は以下の通りです。

講演会「地球温暖化研究の最前線を見に行こう」
今年は地球温暖化に関する講演を充実させ、地球環境研究センターと社会環境システム研究センターの6名の研究者から、最新の研究成果や世界の動向について講演しました。人間活動によって排出される二酸化炭素のゆくえ、温室効果ガスの増加による気候変化の予測と現状、気候変化が人間社会や生態系などに及ぼす影響、温暖化を抑えるための「低炭素社会」のあり方と、低炭素社会に向かう道筋、それを実現するための国際交渉について、興味をもって聴いていただき、貴重なご質問やご意見をいただきました。詳細は次ページと7月号で紹介します。
photo. 講演会

講演会「地球温暖化研究の最先端を見に行こう」の風景。多くの方々に参加していただき、貴重なご質問やご意見をいただくことで、研究者にとっても有意義な時間となりました

地球環境モニタリング「海で測る」「空から測る」「宇宙から測る」
日々変化する地球環境の現状を把握するため、国立環境研究所ではさまざまな「モニタリング」活動を行っています。観測された結果は、過去の変化傾向を明らかにする材料となるとともに、将来予測の基礎となる、貴重なデータベースになっています(http://db.cger.nies.go.jp/)。私たちは、船舶を使って海から(http://db.cger.nies.go.jp/gem/warm/N_Pacific/jc.html)、航空機を使って空から(http://www.cger.nies.go.jp/contrail/)、また人工衛星を使って宇宙から(http://www.gosat.nies.go.jp/)、温室効果ガス濃度などの測定を行っています。実際に測定に使う機器や得られたデータを紹介することで、現在の地球環境の姿を実感していただけたのではないかと思います。
photo. 展示

地球環境モニタリングの展示風景。実際に観測で用いる機器の紹介と、得られたデータなどによって、地球環境の現状を実感していただけたのではないでしょうか

温暖化影響モニタリング「高山帯から見えてくる温暖化」「サンゴが知らせる海の温暖化」
温室効果ガス濃度に加え、私たちは地球温暖化が生態系に及ぼす影響のモニタリングも行っています。冬季は雪に覆われ、さまざまな希少動植物のいる高山帯は、特に温暖化影響が現れやすい場所のひとつです(http://db.cger.nies.go.jp/gem/mountain/)。また海洋では、二酸化炭素が溶けこむことや水温上昇により、生態系に変化が生じることが考えられます(http://db.cger.nies.go.jp/gem/coral/)。普段は見る機会が少ない高山の姿や、観測の難しい海の中をどのように調べるのかなど、モニタリングされた地球環境の現状を実感していただけたのではないでしょうか。
日本とアジアのCO2「排出量はどれくらい?」「低炭素社会を作ろう」
私たちは、普段の生活や企業の経済活動など、日本全体から排出される温室効果ガスを推計しています(http://www-gio.nies.go.jp/index-j.html)。また、温暖化を抑制する社会の実現可能性や実現のための方策についての研究(http://2050.nies.go.jp/index_j.html)も行っています。世界の国々や日本で排出される二酸化炭素排出量を、わかりやすいように立体的に表現しました。また、例えば家族4人で九州まで旅行するとき、車・電車・飛行機で行くとどれくらい二酸化炭素を排出するのか、排出を減らすことはどこまでできるのかなど、私たちの生活と温室効果ガスのかかわりとこれからの社会について、いろいろな形で展示をしました。
自転車de発電
毎年好評のこの企画は、自転車をこぐエネルギーを電気のエネルギーに変えて、いろいろな電化製品を動かしてみる、というものです。大人用と子供用の自転車を用意して、多くの方々に楽しんでいただけました。電球ひとつをつけるのにもかなりの苦労が必要なこと、液晶テレビなどを見るためには本当に精いっぱい自転車をこがなくてはいけないことを、実感していただけたことと思います。
photo. 自転車

自転車de発電の風景。液晶テレビをつけるためには、力いっぱい自転車をこがなくてはいけません。子ども用と大人用の自転車を用意し、いろいろな方々に楽しんでいただきました

今年の一般公開にご来場いただいた皆様に、この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。次は、2013年7月20日(土)に国立環境研究所全体を紹介する「夏の大公開」で、子どもから大人まで楽しんでいただける企画をご用意させていただく予定です。たくさんの方々のご来所をお待ちしております。

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地球環境研究センター ニュース編集局
www-cger(at)nies(dot)go(dot)jp
FAX: 029-858-2645

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