2012年12月号 [Vol.23 No.9] 通巻第265号 201212_265007

四季折々—落石岬— エゾシカとの遭遇

地球環境研究センター 研究支援係 高度技能専門員 岩崎玲子

根室市のエコメッセ2012の一環として行われた落石岬モニタリングステーションの見学会対応のため、初めて根室を訪れました。まず向かったレンタカー事務所で目にしたのは「エゾシカに注意!」というポスターと「エゾシカ衝突事故マップ」です。一度はエゾシカを見てみたいと思っていたので、「これはチャンスかも!?」と期待がふくらみます。

日暮れが近づく中、岬ゲートからステーションへの道のりの途中、地平線に広がる夕焼けの中に、エゾシカが立って私たちを警戒するよう見ていました。シルエットだけですが、心に残る光景でした。

でも、ステーションからの帰り道、車の前に突然エゾシカが飛び出してきたのです。急ブレーキでなんとか衝突は避けられましたが、「エゾシカ衝突事故」ということばが頭をよぎります。さらに根室市内に向かって進むと、今度は道路にエゾシカが立っています。どうやら、ガードレールに邪魔されて道路から森へ抜けられなくなっているようです。私たちは無事避けられましたが、対向車や後からくる車は大丈夫かなと心配になりました。

翌日、近くにいらした根室市役所の方に一般の方から「エゾシカと衝突して、エゾシカはまだ生きているがどうしたらいいか?」という問い合わせの電話があり、獣医さんが現地に向かいました。安楽死させるということでしたが、エゾジカが死傷するような事故では車の修理費もかなり高額だそうです。増えすぎているので、落石岬周辺でも2011年は200頭ほどの駆除が実施されたとか。旅人にとっては観光の一部のエゾシカ、でも住民にとってはエゾシカとの共生は大変なんだと感じました。

photo. エゾシカ

落石岬で越冬するエゾシカの群れ(写真提供:島野富士雄氏)

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