2012年9月号 [Vol.23 No.6] 通巻第262号 201209_262004

夏の大公開〜楽しく学んでエコ力(りょく)アップ〜「地球温暖化の気になる疑問、研究者に聞きにいこう!」開催しました

地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室 研究員(国立環境研究所 一般公開実行委員) 横畠徳太

2012年7月21日(土)に、国立環境研究所「夏の大公開」を開催しました。当日は梅雨明け後のさわやかな天気で、研究所全体で4260名の方々にお越しいただきました。地球温暖化研究棟にも多くの方々に足を運んでいただきました。地球環境研究センターでは、地球温暖化に関する講演会、パネルによる最新の研究成果の紹介、温室効果ガスの観測機器の紹介、自転車を用いた発電体験、子ども向けのぱらぱらマンガや変わり絵パズルの企画を行いました。また今年は、展示パネルの中からクイズを出題し、クイズを通して、私たちの研究成果について理解を深めていただきました。

これまでの一般公開で人気の定番企画、新たに発案した企画とも大盛況で、多くの皆さんに楽しんでいただけたことと思います。われわれ研究者も、日々の研究成果を公開し、皆さまからさまざまな質問やご意見をいただくことで、大いに刺激を受けることができました。この経験を今後の研究活動に活かしていきたいと思います。行われた企画の内容は以下の通りです。

「ココが知りたい地球温暖化」講演会
「地球温暖化はどれくらい「怖い」か?(江守正多)」、「温室効果ガスの年間排出量はどうやって求める?—京都議定書の国際約束を守れるか—(酒井広平)」、「私たちの未来とエネルギー〜選ぶのは私たち(藤野純一)」と題して、講演会を行いました。温暖化によって何が起こるか、対策としての京都議定書の約束の現状はどうなっているか、未来のエネルギーのありかたはどうなっていくのか、皆さまに関心をもっていただけそうな話題に関して、研究者がわかりやすく解説しました(写真1)。詳しい内容は、地球環境研究センターニュース9月号と10月号で報告させていただきます。
photo. 「ココが知りたい地球温暖化」講演会

写真1「ココが知りたい地球温暖化」講演会では三つのテーマについて研究者がわかりやすく解説しました

自転車 de 発電
わたしたちの身の回りにある電気製品を使うためには、どれくらいのエネルギーが必要なのかを、自転車で発電することで体験してもらおうという人気の企画です。小さな扇風機から大型のプラズマテレビまで、電気を使えば使うほど自転車をこぐペダルが重くなっていきます。いつでも電気を使うことのできるありがたさを皆さんに経験していただけたのではないかと思います。
地球温暖化〜こんなところで観測しています!/森や土の呼吸をはかる/潜入!実験室ツアー
地球環境の今の状態を的確に知るため、地上だけでなく、海・空・宇宙から、さまざまな観測を行うことが地球環境研究センターの研究活動の柱の一つです。地球温暖化とかかわりの深い空気中の温室効果ガス濃度や、植物や土の呼吸を観測し、実験室でいろいろな分析を行っています。実際に航空機や船舶、また人工衛星に積んでいる観測機器の展示や、土や植物からの二酸化炭素の吸収放出量の観測の実演、温室効果ガスを分析している実験室ツアー(写真2)、そしてさまざまな観測からわかった最新の研究成果の紹介を行いました。
photo. 潜入!実験室ツアー

写真2世界中の空気に含まれている温室効果ガスを測る実験室ツアーはいつも人気のある企画です

地球温暖化を予測する
スーパーコンピュータの中に地球環境を再現する数値シミュレーションモデルを使って、将来の気候がどう変化するか、それによって人間社会や生態系にどのような問題が起こるかについて予測を行うことも、地球環境研究センターの重要な任務の一つです。シミュレーションによって得られた将来の地球環境を、アニメーションを通じて実感していただきました。また、コンピュータとわれわれのモデルの能力が年々進化していることをブロックを使った模型を通じて理解していただきました。
ホントに減らせる?アジアと日本のCO2/私たちの未来とエネルギー
地球環境の観測や数値シミュレーションによって得られた将来環境予測の成果を活かし、今後社会が地球温暖化にどのように対応していけばよいか、について研究を行うことも、地球環境研究センターの重要な課題です。世界で排出される温室効果ガス、これをアジアや日本でどのように減らすか、また現在活発に議論が行われている将来の日本のエネルギーの選択について、模型などを用いてわかりやすく展示を行いました。最新の、そして幅広い情報を提供させていただくことで、地球温暖化と将来のエネルギーについて、皆さまに、さらに考えを深めていただけたのではないかと思います。
かんきょう問題かんしん度ちぇっく/地球環境ぱらぱらマンガ/地球変わり絵パズル
展示パネルの中からクイズを出題し、研究者がその問題について丁寧に解説することで、研究の最前線の雰囲気を感じ、最新の知識について触れていただくことができました。また今年は温暖化の影響が見えやすい高山での四季の移ろいを、「地球環境ぱらぱらマンガ」で見ていただきました。そして「地球変わり絵パズル」は、ちょっと複雑なパズルですが、完成すると「みどりのカーテン」で活躍するゴーヤが現れます。たくさんのお子さんたちにとても楽しんでいただきました(写真3)。
photo. 子ども向け企画

写真3夏の大公開では、今年も子ども向けの企画を行いました

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地球環境研究センター ニュース編集局
www-cger(at)nies(dot)go(dot)jp
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