2012年6月号 [Vol.23 No.3] 通巻第259号 201206_259007

「GOSAT-2プロジェクト準備チーム」の設置について

環境計測研究センター 環境情報解析研究室長 松永恒雄

わが国の地球観測衛星である温室効果ガス観測技術衛星(Greenhouse gases observing satellite、GOSAT、いぶき)は、温室効果ガス観測専用衛星としては世界初のものです。また「GOSATプロジェクト」は環境省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立環境研究所(以下、三者)の共同プロジェクトとして実施されています。「いぶき」は2009年の1月の打上げから3年以上順調に観測を続けており、国立環境研究所からは大気中の二酸化炭素やメタンのカラム量プロダクト等が既に一般公開されているほか、「いぶき」データを利用して全球の二酸化炭素吸収排出量を算出した結果等が発表されています。また世界各国で「いぶき」データの処理や利用に関する研究も進められています。

このような「いぶき」の成果を受け、三者は2011年7月にGOSAT後継の検討を開始することに合意しました。2016年度のGOSAT後継衛星(以下、GOSAT-2)打上げを想定し、環境省では今年度より検討事業を開始し、またJAXAはGOSAT-2用観測機器の検討や試作を進めています。国立環境研究所では2010年度よりGOSATの成果の評価/GOSAT-2の予備検討を進めてきましたが、GOSAT-2検討体制の明確化とその所内外への周知のため、2012年2月に地球環境研究センターに「GOSAT-2プロジェクト準備チーム」を設置しました。

本チームは笹野地球環境研究センター長(チームリーダー)、松永(チームリーダー代理)、森野主任研究員、吉田研究員(両名とも地球環境研究センター 衛星観測研究室に所属)および数名の特別研究員、高度技能専門員、アシスタントスタッフから構成されており、1) GOSAT-2の目的とその科学的な根拠に関する検討、2) GOSAT-2の目的の達成に必要な衛星/センサ/データ処理システムとその運用に対する要求の検討、3) GOSAT-2データの検証計画に関する検討、を主な業務としています。

設置初年度である2011年度には、1) REDD+(REDD[森林の減少・劣化を防止することによる森林からの温室効果ガスの排出削減]に植林事業や森林保全等による炭素ストックの積極的な増加を加えた拡張概念。​http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3985​より)への応用を念頭においた、衛星による温室効果ガス観測データを用いた森林地域の炭素吸収排出量推定に関するさまざまな基礎的検討、2) 国内外のGOSAT関係者、有識者から構成されるGOSAT中間総括会議(計3回。2012年2月29日〜3月2日に東京大学で開催された国際会議 “The GOSAT Workshop 2012—Towards GOSAT-2 Mission” を含む)の開催を事務局として支援し、議論の取りまとめを行いました。

GOSAT-2プロジェクト準備チームでは、GOSAT-2の仕様確定に向け、今年度は関係する皆様のご支援のもとに検討をさらに詳細化する予定です。ご協力をよろしくお願い致します。

photo. GOSAT中間総括会議第1回会合

2012年2月8日に開催されたGOSAT中間総括会議第1回会合の様子

目次:2012年6月号 [Vol.23 No.3] 通巻第259号

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